エージェント・ウルトラ

映画館で予告映像見て面白そうだなーと思ってはいたんですが、結局見たのはDVDになってからになってしまいました。予備知識としては痛快はちゃめちゃアクション+どたばたラブコメディーって感じ。ある日冴えないコンビニ店員が謎の言葉を呟く女性客に会い、その瞬間から最強エージェントに大変身! 襲ってきた男二人をスプーン一本で撃退し、殺しちゃったどーしよ!? でもこれからもぶっ殺し続けるよ!! という感じだったんですが。
ええ、たぶん、序盤はそんな感じでした。主人公は予想よりもはるかにクズでしたが。ドラッグって……ドラッグって……。アメリカはずいぶん、ドラッグに対して描写が緩いですよね。未成年の喫煙と一緒のレベルやないかーいと突っ込んでしまいました。今さらですね。まあ、主人公のマイクは恋人のフィービーとドラッグをこよなく愛するうだつの上がらない男です。色々するけど、いつも空回り。たぶん、優しいくらいが取り柄なんです。愛するフィービーにプロポーズするためにハワイ旅行を計画するのに、搭乗前にパニック発作を起こしてしまって結局行けず。やることなすこと裏目の男。もう、フィービーに出会えてよかったね……って感じです。フィービーはマイクのよき理解者で、彼の語る物語も喜んで聞いてくれる女性です。マイクは彼女を完璧な女性だと思っていて、自分はそんな彼女の足かせだと感じています。それでも好きだからプロポーズしようと新たに計画をたてるのですが、そこに現れるのが例の謎の女、ラセター。とはいえ、ここまででそのラセターも描かれていますので、理由は明白。
彼女が来た理由は、CIA内部でマイクを抹殺計画が持ち上がっていたからです。
ラセターの呟く言葉を引き金に、マイクはCIAエージェントだったころの自分をだんだんと思い出していきます。そして、現れた刺客を見事、スプーンで撃退! あおりほどスプーンだけでもなかったのですが、スプーンが素晴らしい武器になったことは間違いないです。そこから迫り来る敵をちぎっては殺しちぎっては殺し……するのかと思いきやフィービーに泣きつくマイク。ヘタレはまだ健在のようです。人殺しちゃった! どうしよう!! といわれる方もまったくかわいそうです。
フィービーが現場を見ている間に警察に見つかり、逮捕とあいなるんですがそこにも刺客が現れ、逃げた麻薬ディーラーの友人宅に刺客が来る。何で狙われているのかわからないマイクは、思い出していく記憶と人を殺すことに対して徐々に疲弊していきます。
そして、マイクを殺そうと使われたガスの名前をフィービーが言い当てたことで、マイクはフィービーにも不信感を抱きます。そう、フィービーはCIAの職員で、マイクを監視するためにいたのです。薄々、薄々なんかからっとしたアクションじゃないな、という気はしていたのですが、やっぱりそう来たか~と。ありがちと言えばありがちですが、ちょっと重い。フィービーは本当は告白したかった、あなたを愛してる、というわけですが、混乱したマイクには通じません。そりゃそうですよね、今さらいったって、あと出しじゃんけんもいいところです。混乱、恐怖、不信感がないまぜになって、ただただフィービーを拒絶することしかできないマイクは、見ていてひどく痛々しかったです。外見が貧相だから、なおさら。そしてそんなときでも敵は襲ってくるわけで、マイクを車の下敷きにしてガソリンをぶっかけたあと、フィービーを浚っていくんです。テンプレ!
ここはいくら拒絶した彼女と言えど、助けにいかないわけにはいきません。正直これまで襲ってくるのは一人か二人組程度で、無双って言うほどでもない。ラセターに燃え盛る車の中から助けられ、いざゆかん……と思いきや、マイクぐったり放心…。彼女から裏事情を教えられ今度こそ! とおもいきや、いや家に寝に帰るんかーい! もちろん寝られるわけもなく、新たな敵に襲われ、そこで知らされる決着の地。ホームセンター。おっと、ようやく盛り上がって参りました。無双の始まりです。ありとあらゆる道具を使い、容赦なくぶっ殺す! 時々反撃を食らうわけですが、そのときにちらりと覗く普段のマイクがとてもいい。勘弁してというような、もういやだとなげやりになるような……。フィービー元CIA職員ですから、さりげなくクリップで手錠を外したり、敵をぶん殴ったりととてもいい動きをします。もともとフィービー、やけに行動派だったのはこういうわけだったんですね。鼻血もとても似合います。ですが結局相討ちで倒れているマイクをフィービーが助けに来たわけで、やっぱり最後までしまりませんね……。
フィービーに肩をかりてモールから出ると、そこにはたくさんの警察がいて、二人を狙っています。銃の緑のレーザー十個くらい二人に当たっています。本当に心底疑問だったんですが、マイク氏、なぜかそこで跪き、プロポーズ。え、そこが君の待っていたタイミングなんですか? いままで何度も作中で「完璧」なタイミングはいつかと悩んでいたのに? 笑顔で「プロポーズした!」って。ああほら、麻酔銃撃たれているじゃないですか……。こういうお間抜けなところが、かわいいんでしょうか。最後にはマイクの抹殺計画は中止されました。ひと安心。
マイクは殺しっぷりが評価され、正式なCIAの一員となり、海外にいっても発作を起こさないように。オールバックでキメて、フィービー同伴で殺しのお仕事に向かいます。そこにはへたれっぷりはなく、クールな仕事人の姿があります。丸腰でやってきたマイクに「武器も持たずに」と嘲笑う敵に、そこでちらっと視線を向けるのは缶詰やちり取りやフライパン。過去にマイクが武器にしてきたものです。思わず笑っちゃうマイクですが、こちらもくすり。結末はもうわかってますもの。ただし、この先は、ちょっと賛否両論あるでしょう、というエンディング。
いろいろ細かい部分は気になりますが、そこは無視したほうが楽しめる作品です。気にしたら負け。悪役のイエーツがいっそ見事なくらい悪役っぷりを披露してくれるので、そこら辺のカタルシスは楽しめます。あんた、戦争でもするのか! って感じです。